木は燃えるために火災に弱いが、鉄は燃えないので火災に強いと思われています。
実際には、どうでしょうか?
今回は火災時の鉄骨強度について考えていきます。
火災発生時の温度
火災が発生すると建物の温度はどれ位熱くなるのでしょうか?
火災が発生すると、火災室の温度は900℃~1000℃近くに達すると言われています。

また、こちらに実大建物の火災が紹介されています。貴重な実験ですので、あわせてご覧ください。
火災時の鉄骨の強度
日本建築学会 2001年版 耐火性能検証法の解説及び計算例とその解説によれば、鉄骨の温度が325℃以上になると強度が低下しはじめ、700℃で鉄骨強度が「ゼロ」になるとされています。

縦軸の「F」は鉄骨の強度を示しています。
建物は余裕を持って設計しています。
通常時(地震や火災が発生していないとき)は、鉄骨の強度の33%(1/3F)以内となるように設計し、地震や台風が発生したときには、66%(2/3F)以内となるように設計しています。

2/3Fは通常発生する地震でも安全とされる鉄骨強度(短期許容応力度)ですので、火災時もこの程度鉄骨に荷重を負担させても安全だと考えられます。このときの鉄骨温度は450℃です。
鉄骨の温度が上昇すると、鉄骨の強度が低下するため、建物が倒壊します。
火災時の温度と鉄骨強度
火災時の温度は900℃~1000℃であるのに対し、鉄骨温度は325℃から強度低下して700℃でゼロになってしまうため、鉄骨を裸のままにしておくと、火災に弱いということになります。
鉄骨の温度が上昇しないようにするには
火災時に鉄骨の温度が上昇にしないようにするため、耐火被覆材と呼ばれる断熱材を鉄骨の周りに被覆します。
半湿式ロックウール吹きつけや、ケイ酸カルシウム版が有名です。

巻き付け耐火材や、鉄骨の形状を現すため耐火塗料を用いることもあります。
半湿式ロックウール吹きつけは、安価なため、多くの建物で使われます。
ロックウール繊維とセメントを混合したものを鉄骨材に吹き付けます。
吹き付け施工のため、複雑な形状でも施工が容易であることが利点としてあげられます。
適正な配合と、吹きつけ厚みを確保することが重要です。
吹きつけ材で汚れが発生する恐れがあるため、養生を十分に行うことが必要です。


半湿式ロックウール吹き付け状況
写真は、 ロックウール工業会https://www.rwa.gr.jp/product/investment.html#01
ケイ酸カルシウム版は、ケイ酸カルシウムの板を梁に貼り付けることで施工します。
ケイ酸カルシウム版の方が、見栄えが良いので、建物の見える場所にはケイ酸カルシウム版を貼りつけ、見えない場所には半湿式ロックウール吹きつけを行うことが多いです。
半湿式ロックウールでは吹きつけ材が飛び散るため、巻き付け耐火材を用いることがあります。
巻きつけ耐火材の場合、内装工事等その他の工事を同時に行うことが出来るのが利点です。
巻き付け耐火材は、ニチアスのマキベエが有名です。
鉄骨温度の温度が上昇すると、鉄骨強度が急激に低下します。
鉄骨構造では耐火被覆を確実に施工して鉄骨温度の上昇を抑えること
がポイントです。
住まいのセカンドオピニオンのすすめ
いかかでしたか。
今回の報告も含めて、1面だけで判断せず、多面的に検討する必要があります。

住宅の建設の場合、①利便性や②価格、③安全性などを総合的に判断する必要があると思います。
①利便性や②価格を総合的に判断するには、いくつかの提案プランを比較することがおすすめです。
住まいは大変高価な買い物です。
1人の営業トークだけで決めてしまうのは、大変もったいないと思います。
タウンライフでは、大手ハウスメーカーのプランを『無料』で『同時に請求』できるのでとても便利です。
『無料」で『同時に請求』したプランを見て、もう一度考え直す、 住宅を買うのを止めるということも視野に入れても問題ないと思います。
実際に請求しようと思ったときには、各メーカーから、「より良いプラン」を引き出すため、以前「ゆこな」で紹介したこちらのページも参照してみてください。
メーカー・工法によっても『安全の考え方』が違っています。
おのおののプランを入手して、①利便性や②価格の『適正な設定』を住宅メーカーではなく、自らが決めていくことが必要なのだと思います。
とはいっても、住宅の専門的なことをどのように決めてゆけばよいのか、と感じるかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな時、わたくし”ゆこな”が、皆様によりそって、「住まいのセカンドオピニオン」として安全性の考え方についてのサポートし、皆様のよりよい住まいつくりのお手伝いができれば、と考えています。

「ゆこな」のセカンドオピニオンのご依頼・ご質問はご遠慮なく、メールお願いいたしますね。