『災害』から家族を守る

【熊本地震】九州・四国地方の住宅では、建物の強度不足に注意

熊本地震と地域係数 東京よりも九州・四国の建物強度は10~20%減

九州・四国地域では地震の発生の恐れが小さいものとして、地震力を低減して(建物強度を小さく)設定していたのをご存知ですか?

20年も前のことになりますが、私が駆け出しの構造設計担当者として、熊本の建物担当したときには、「九州には地震は来ない。こんなに鉄筋コンクリートの鉄筋を入れるな!」と先輩に起こられたものです。

熊本地震が起きたときにはびっくりしました。

内閣府防災情報のページ
特集1 平成28年熊本地震‐内閣府防災情報のページ より

九州には地震が起きないと信じていましたから。

過去の認識は非常識でした。

建築基準法では、建築物を設計する際に、「地域係数」という、建物を建設する地域に発生するリスクを考慮して、地震力を設定します。

東京都の地域係数は1.0で、熊本県の地域係数は0.8~0.9ですので、建築基準法の数値通りに設計した場合、熊本県の建物は東京都に建設する場合に比べて強度は10~20%低いということになります。

『最近の地震発生リスク』と『建築基準法の地震発生リスク』に食い違い

最近の地震発生リスク調査では、九州・四国地方での地震発生リスクが比較的高いにもかかわらず、建築基準法上の地震発生リスクは低く評価されている(建物強度が小さくでもOKとなる)場合があることが分かりました。

実際には地震が発生するのにもかかわらず、実際の建物設計では、地震を低く見積もっているとは驚きました。

これから、実際の地震リスクと建築設計上の地震リスクについて見ていきます。

建築設計における地震力の設定

住宅を建設するときには、①建設する場所によって、②建物の種類や形状によって、地震力が変わります。

今回は、「①建設する場所(地域係数)」について考えていきます。

地域係数とは

地域係数とは、過去に発生した地震の記録などから、地震の発生の恐れの小さい地域では設計震度を割り引くというもので、東京都など一般地域が1.0で沖縄県では0.7と30%の地震力が割り引かれています。

沖縄県では、東京都の建物強度の30%減でOKというのは驚きです。

30%減の場合には慎重に考慮する必要があります。

地域係数による地震力の低減は国土交通省告示第1793号(地域別地震係数)に記載されています。

地震地域係数Z(国土交通省告示第1793号)

●一般地域 Z=1.0(地震力低減なし)Z=0.9~0.7以外の全ての地域

●Z=0.9の地域(地震力低減10%の地域)

・北海道のうち札幌市、函館市、小樽市、室蘭市、北見市、夕張市、岩見沢市、網走市、苫小牧市、美唄市、芦別市、江別市、赤平市、三笠市、千歳市、滝川市、砂川市、歌志内市、深川市、富良野市、登別市、恵庭市、伊達市、札幌郡、石狩郡、厚田郡、浜益郡、松前郡、上磯郡、亀田郡、茅部郡、山越郡、檜山郡、爾志郡、久遠郡、奥尻郡、瀬棚郡、島牧郡、寿都郡、磯谷郡、虻田郡、岩内郡、古宇郡、積丹郡、古平郡、余市郡、空知郡、夕張郡、樺戸郡、雨竜郡、上川郡(上川支庁)のうち東神楽町、上川町、東川町および美瑛町、勇払郡、網走郡、斜里郡、常呂郡、有珠郡、白老郡

・青森県のうち青森市、弘前市、黒石市、五所川原市、むつ市、東津軽郡、西津軽郡、中津軽郡、南津軽郡、北津軽郡、下北郡

・秋田県

・山形県

・福島県のうち会津若松市、郡山市、白河市、須賀川市、喜多方市、岩瀬郡、南会津郡、北会津郡、耶麻郡、河沼郡、大沼郡、西白河郡

・新潟県

・富山県のうち魚津市、滑川市、黒部市、下新川郡

・石川県のうち輪島市、珠洲市、鳳至郡、珠洲郡

・鳥取県のうち米子市、倉吉市、境港市、東伯郡、西伯郡、日野郡

・島根県

・岡山県

・広島県

・徳島県のうち美馬郡、三好郡

・香川県のうち高松市、丸亀市、坂出市、善通寺市、観音寺市、小豆郡、香川郡、綾歌郡、仲多度郡、三豊郡

・愛媛県

・高知県

・熊本県(地震地域係数0.8に掲げる市および郡を除く)

・大分県(地震地域係数0.8に掲げる市および郡を除く)

・宮崎県

●Z=0.8の地域(地震力低減20%の地域)

・北海道のうち旭川市、留萌市、稚内市、紋別市、士別市、名寄市、上川郡(上川支庁)のうち鷹栖町、当麻町、比布町、愛別町、和寒町、剣淵町、朝日町、風連町および下川町、中川郡(上川支庁)、増毛郡、留萌郡、苫前郡、天塩郡、宗谷郡、枝幸郡、礼文郡、利尻郡、紋別郡

・山口県

・福岡県

・佐賀県

・長崎県

・熊本県のうち矢代市、荒尾市、水俣市、玉名市、本渡市、山鹿市、牛深市、宇土市、飽託郡、宇土郡、玉名郡、鹿本郡、葦北郡、天草郡

・大分県のうち中津市、日田市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、西国東郡、東国東郡、速見郡、下毛郡、宇佐郡

・鹿児島県(名瀬市および大島郡を除く)

●Z=0.7の地域(地震力低減30%の地域)

・沖縄県

地震発生リスクに関する最近の調査結果

政府は、地震に関する調査研究成果が国民や防災を担当する機関に十分に伝達され活用される体制になっていなかったとう課題意識をもとに、総理府(現・文部科学省)に地震調査研究推進本部が設置し、地震学の知見と各地の観測データから、地震発生確率を報告しています。

詳しくは、別のページで解説しています。こちらを参照してください。

設計地震リスク(地震地域係数Z)と最近の政府調査結果

地震の『設計想定リスク(地震地域係数Z)』と『政府(地震調査研究推進本部)の地震想定リスク』を併記しました。

表の赤色部分は、政府(地震調査研究推進本部)では、地震の設計想定リスクは小さく設定されています。

特に、 四国・九州地方に設計地震リスクと最近の研究の地震リスクの乖離が多くみられます。

赤字:地震の『設計想定リスク(地震地域係数Z)』”小”で 『政府(地震調査研究推進本部)の地震想定リスク』”大” の地域

都市名 【設計の前提】
地震の地域係数Z(*)
【最近の地震研究】
地震発生確率2018(**)
札幌市 0.9 1.6%
函館市 0.9 1.5%
岩見沢市 0.9 10%
旭川市 0.8 0.55%
留萌市 0.8 1.8%
稚内市 0.8 1.1%
網走市 0.9 3.7%
帯広市 1.0 22%
釧路市 1.0 69%
根室市 1.0 78%
青森市 0.9 5.7%
盛岡市 1.0 4.6%
仙台市 1.0 6.1%
秋田市 0.9 8.1%
山形市 0.9 3.8%
福島市 1.0 7.1%
水戸市 1.0 81%
宇都宮市 1.0 14%
前橋市 1.0 7.2%
さいたま市 1.0 55%
千葉市 1.0 85%
東京都
(東京都庁)
1.0 48%
横浜市 1.0 82%
新潟市 0.9 13%
富山市 1.0 5.2%
金沢市 1.0 6.5%
福井市 1.0 13%
甲府市 1.0 50%
長野市 1.0 5.7%
岐阜市 1.0 27%
静岡市 1.0 70%
名古屋市 1.0 46%
津市 1.0 64%
大津市 1.0 11%
京都市 1.0 13%
大阪市 1.0 55%
神戸市 1.0 44%
奈良市 1.0 61%
和歌山市 1.0 58%
鳥取市 1.0 5.6%
松江市 1.0 3.7%
岡山市 0.9 42%
広島市 0.9 23%
山口市 0.8 5.9%
徳島市 1.0 73%
高松市 0.9 63%
松山市 0.9 45%
高知市 0.9 75%
福岡市 0.8 8.2%
佐賀市 0.8 8.2%
長崎市 0.8 2.6%
熊本市 0.9 7.7%
大分市 0.9 54%
宮崎市 0.9 44%
鹿児島市 0.8 18%
那覇市 0.7 20%

(*)地震地域係数Z(国土交通省告示第1793号

(**)政府の調査 地震調査研究推進本部の地震発生確率 詳細はこちら

四国・九州地方で住宅を設計する場合には、地震力を2程度割り増しして(Z=0.8→1に割り増しして)建物を設計することをおすすめします。

地震の強度を3割程度増やしたとしても、鉄筋・鉄骨量はkg単位増加する程度でしょう。

仮に1トン増量したとしても、材料費の増分は10万円程度です。

東京製鐵株式会社HPより

まとめ

建築設計では、建設地域の地震記録に応じて、地震地域係数Zを用いて自身リスクを評価しています。

地震の恐れが高い地域を1.0として、地震リスクが小さい地域では0.9~0.7まで地震力を低減しています。

四国や九州地域では、地震地域係数が小さめですが、最近の政府の地震発生リスクは小さいとはいえません。

建物を建設するときには、地震地域係数による地震力の低減には注意が必要です。

住まいのセカンドオピニオンのすすめ

いかかでしたか。

今回の報告も含めて、1面だけで判断せず、多面的に検討する必要があります。

住宅の建設の場合、①利便性や②価格、③安全性などを総合的に判断する必要があると思います。

①利便性や②価格を総合的に判断するには、いくつかの提案プランを比較することがおすすめです。

住まいは大変高価な買い物です。

1人の営業トークだけで決めてしまうのは、大変もったいないと思います。

タウンライフでは、大手ハウスメーカーのプラン『無料』『同時に請求』できるのでとても便利です。

『無料」で『同時に請求』したプランを見て、もう一度考え直す、住宅を買うのを止めるということも視野に入れて考えることも重要です。

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実際に請求しようと思ったときには、各メーカーから、「より良いプラン」を引き出すため、以前「ゆこな」で紹介したこちらのページも参照してみてください。

メーカー・工法によっても『安全の考え方』が違っています。

おのおののプランを入手して、①利便性や②価格の『適正な設定』を住宅メーカーではなく、自らが決めていくことが必要なのだと思います。

とはいっても、住宅の専門的なことをどのように決めてゆけばよいのか、と感じるかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

そんな時、わたくし”ゆこな”が、皆様によりそって、「住まいのセカンドオピニオン」として安全性の考え方についてのサポートし、皆様のよりよい住まいつくりのお手伝いができれば、と考えています。

「ゆこな」のセカンドオピニオンのご依頼・ご質問はご遠慮なく、メールお願いいたしますね。

ABOUT ME
管理人
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一級建築士「ゆこな」です。 子どもが3人と日々格闘中です。。。 「ゆこな」の名前は、は子どもの名前の1文字づつ をもらって付けました。 子どもが安全な住まいや暮らしについて皆さんと考えて いきたいと考えています。